子どもの頃のストレスは脳にどう影響するか

勉強録

最近やっと北海道にも桜が咲きました!

東京と比べると1ヶ月以上遅いんですね〜

北海道に来てから雪が多くて不便だなぁ、と思っていたんですが、北海道は花粉が飛んでいないので、快適すぎて北海道に来てよかったー!と思う今日この頃です笑

それでは今日は、『子どもの頃のストレスはどう影響するか』についてお話ししたいと思います。

point ① 小児期の辛い体験は成人後の健康に影響する

アメリカの研究で、中流および上位中流階級の人々が健康診断の際に、子供の頃に経験した辛い体験についてアンケートをとりました。

辛い体験とは、暴力や性的虐待・身体的/感情的ネグレクト・両親が離婚/別居していた・家族のなかに刑務所に収監されている者がいた・精神病を患っている者がいた・何かの依存症だった者がいた等の様々な家族の機能不全が含まれます。

このアンケートをもとに分析した結果、当てはまる項目数が多ければ多いほど、成人後も常習行為から慢性疾患にいたるまで、ほぼすべての項目でより悪い結果が出たそうです。下記の結果は当てはまる項目数0の人と比べた結果です。

【当てはまる項目数が4つ以上】

  • 喫煙率が2倍
  • アルコール依存症である割合が7割
  • 癌の診断を受けた人は2倍
  • 心臓病、肝臓病は2倍
  • 肺気腫や慢性気管支炎を患っている率は4倍

【当てはまる項目数が5つ以上】

ドラッグを注射したことがある割合が46倍も高い

【当てはまる項目数が6つ以上】

自殺を試みたことのある割合が30倍も高い

【当てはまる項目数が7つ以上】

喫煙や過度の飲酒をせず、肥満でもないのに虚血性心疾患にかかる危険性が3.6倍高い

子供の頃の辛い体験が成人後に及ぼす影響ってこんなに大きいんですね…

point② ストレスが及ぼす作用とは

子どもの頃に経験したストレスは、発達段階の体や脳にダメージを与えます。

ストレスが及ぼす作用は、神経伝達物質の活性化、血糖値の上昇、心臓血管系から筋肉への血液の流れ、血中の炎症性たんぱく質の増加などが挙げられます。

このストレスは、幼少期に負荷をかけすぎると、長期にわたる深刻な悪影響が体にも、精神にも、神経にもさまざまに出てくると言われています。

例えば、ストレスで一時的に血圧が上がりますが、血圧の上昇がくり返されると動脈内に隆起が生じ、心臓発作の原因となります。怖いですね…

point ③ ストレスは脳にどう影響するか

脳のなかで幼少期のストレスから最も強く影響を受けるのが前頭前皮質です。

前頭前皮質は、自分をコントロールする活動、つまり感情面認知面におけるあらゆる自己調節機能において重大な役割を果たす部位です。

このため、ストレスに満ちた環境で育った子供の多くが、集中することやじっと座っていること、失望から立ち直ること、指示に従うことなどに困難を覚えやすいそうです。

抑えることのできない衝動に圧倒されたり、ネガティブな感情に悩まされたりしていれば、活動的な日々を送ることは難しいですよね。

point ④ 子どものストレスを軽減するには(ラットの場合)

本の中で、面白い研究が載っていました。

ラットを使った研究なんですが、まず、人間とラットの脳の構造は似ているらしいです。

子ラットになんらかの処置をすると、その子ラットは不安を示すストレスホルモンを大量に分泌します。しかし母ラットがなめたり毛づくろいをしたりすることでその不安が解消され、ストレスホルモンの波が引いたそうです。

このような母ラットの子どもは、子どもに関心のないラットの子ラットに比べてより社会性があり、好奇心も強く、攻撃性が低く、自制がきき、より健康で、長生きだったそうです。

遺伝じゃないの?と思われがちですが、母ラットを入れ替えた結果、丁寧に育てられた子ラットの方が勇敢で大胆で、環境にもうまく適応しました。

また、母ラットの行動は、子ラットの行動だけでなく脳にも影響を与えていました。丁寧に育てられた子ラットと関心の少ない母ラットに育てられた子ラットでは、ストレスに対処する脳の部位の大きさやかたちや複雑さが大きく異なったそうです。

ラットと人間の脳の構造が似ているのであれば、人間もストレスを感じると脳に影響していそうですよね。

point ⑤ 人間でも同じ結果に

1万2千人を超える幼児を対象とした研究では、幼児がストレスを感じる環境の中、ストレスホルモンがどれだけ上がるか測定しました。

家庭内の騒動や混乱、人の出入りといった環境上のリスクが子供のストレスホルモンの値に大きな影響を及ぼしました。ただしそれは母親が無関心だったり無反応だったりした場合だけです。母親の反応の感度が高ければ、環境上の要因が子供に与える衝撃はほぼ消えてなくなるようでした。

実際に、乳幼児に子どもの気持ちに敏感に対応した親の子どもはそうでない子どもと比べて自立心が強く積極的になったそうです。

人間もラットと同じようにストレスを感じた子どもに対して即座に対応してあげるのは大事なことだったのですね。

今日の勉強録

『子どもの要求に敏感に対応することで、子どものストレスを軽減し、自立心を育てることができる』

最近は、抱き癖を気にせず、赤ちゃんが泣いていたら抱っこしてあげましょう〜という話しをよく聞きますが、脳科学的にも正しい行為だったんですね。

私はよく家事をしているとおはぎちゃんが泣いていても待たせてしまうので、出来るだけすぐに抱っこしてあげようと思いました。

参考図書:『成功する子、失敗する子』著ポール・タフ

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